
2026.02.13
動画を制作しても、思うように届かない。
自社の魅力をどう伝えればいいのか、判断に迷う。
そうした課題は、業界や企業規模を問わず多く聞かれます。
吉本興業でも、YouTubeを中心にアニメ企画を続ける中で、テンポや届け方に試行錯誤を重ねてきました。その過程で、FUNNYMOVIE(ファニムビ)という外部パートナーと組み、新たなアニメ表現に挑戦しています。
今回は、吉本興業がアニメという手法を選んだ理由と、実際に見えてきた成果や課題について、担当の山田さん、上木さんのお二人に話を伺いました。


山田貢さん
吉本興業株式会社
プロデュース本部 事業部
上木則安さん
1959年熊本市生まれ。東宝、WOWOW、スカパー!、ワーナー、Netflix JAPANの立ち上げに携わり、現在は個人事務所で映像プロデュースを行う。代表作に『サマーウォーズ』『火花』など。
山田さん:
実は、最初から「アニメでいこう」と決めていたわけではありませんでした。当時は、DVDにする案や配信企画など、いろいろな選択肢を社内で検討していたんです。
その中で、たまたま僕がアニメの部署にいたこともあって、「じゃあ一度、アニメでやってみよう」という流れになりました。
まずは自社でアニメという表現に挑戦してみた、というのが正直なスタートです。ただ、実際にYouTubeでアニメを出してみると、別の課題が見えてきました。
コントは「間」や「空気感」がとても大事ですが、YouTubeはテンポがかなり早いメディアです。アニメではあるものの、芸人のコント本来のテンポ感のままだと、今のYouTubeの視聴スピードと合っていないのではないか。
そうした違和感が、だんだんとはっきりしてきました。そこで、「もっとテンポを早くして、新しい形に挑戦してみよう」という話になったんです。
同じアニメでも、スピード感を意識した表現に振り切った方がいいんじゃないか、と。芸人の個性や面白さを活かしつつ、今のメディア環境に合う形で届ける。そう考えたときに、「テンポのいいアニメ」という方向性が、いちばん相性がいいと感じました。


上木さん:
もし吉本の中だけで考えていたら、ここまでうまくいかなかったと思います。
どうしても芸人目線に寄りすぎたり、お笑いに振り切りすぎたりしていたかもしれません。
アニメという形にしたことで、視聴者目線を保ったまま、芸人の強みを整理して見せることができた。そこに、大きな可能性を感じました。
この話は、吉本だけの話ではないと思っています。
「いい人材がいるのに、魅力が伝わりきっていない」「今の時代のスピードに合っていない」。
そうした悩みを持つ会社さんは、きっと多いはずです。その課題に対して、アニメという選択肢が、一つの答えになると感じています。

山田さん:
正直に言うと、「面白そうだからお願いした」という感覚とは少し違います。
一番大きかったのは、「一緒に新しい挑戦ができそうだな」と思えた点でした。
実は、これまでにもFUNNYMOVIEとは、別の映像制作でお取引はありました。
ただ、アニメ制作としては今回が初めてでした。
それでも不安よりも期待の方が大きかった理由は、過去の制作事例を見たときの印象です。
まず、テンポ感が今のYouTubeに合っていると感じました。
お笑いの間を大切にしつつ、無駄がなく、スピード感がある。
「これなら今の視聴者に届くかもしれない」と素直に思えたんです。


山田さん:
それから、企画の切り口ですね。
芸人をただアニメにするのではなく、
「どういう設定なら、その人の面白さが一番出るか」を考えてくれている。
そこに、作り手としての視点と、視聴者目線の両方を感じました。
当時はちょうど、
「今までのやり方だと、YouTubeではなかなか広がらない」
「芸人のコントのテンポとは、変えた挑戦をするべきタイミングだ」
という話を社内でもしていた時期でした。
だからこそ、“安心できる選択”ではなく、「今だからこそチャレンジする」判断として、FUNNYMOVIEにお願いしました。


山田さん:
営業っぽい話ではなく、「なぜその選択をしたのか」という判断軸で言うと、一緒に試行錯誤しながら前に進める相手だと感じられた。それが、依頼を決めた一番の理由です。
初めてのアニメ制作でしたが、結果として「挑戦してよかった」と今ははっきり言えます。前向きな意味で、想像以上の手応えがありました。
上木さん:
正直に言うと、もし吉本の社内だけで考えていたら、ここまでの表現にはならなかったと思います。
どうしても社内で考えると、芸人のやりたいことや、お笑い側の論理に引っ張られてしまいがちです。
それは悪いことではないんですが、結果として「内輪ノリ」に近づいてしまう可能性があったと思っています。
その点、FUNNYMOVIEは、最初から視聴者目線を強く持っていました。
芸人のこともよく理解したうえで、「どこが一番面白いのか」「どこが一番伝わりやすいのか」を、かなり冷静に整理されていた印象です。
だからこそ、お笑いとリアルさがうまく混ざった表現になったんだと思います。


山田さん:
僕も同じで、社内だけでやっていたら、芸人目線に寄りすぎていたと思います。
FUNNYMOVIEは、芸人一人ひとりの特徴をきちんと抽出して、誇張しすぎず、でもしっかり面白く見せてくれました。
そのバランス感覚には、正直すごく感心しました。
上木さん:
完成した作品を見て、「これは新しい新喜劇だな」と感じました。舞台は会社という一つの場所に限定されていて、そこで起こる出来事だけで話が進む。
これはいわゆる「シチュエーションコメディ」だと思います。
今までの新喜劇とは違う形ですが、吉本らしさはしっかり残っている。その突破口を作れたのは、外部パートナーと組んだからこそだと思っています。


山田さん:
よく「外注」というと、丸投げのイメージを持たれることもありますが、今回は全く違いました。
一緒に考えて、一緒に悩んで、一緒に形にしていく。
その過程の中で、僕ら自身も「吉本の強みって何だろう」と改めて気づかされました。
上木さん:
強みや面白さは、実は中にいると見えにくいものです。
それを外からの視点で、しかもリスペクトを持って引き出してくれた。
そこが、今回のプロジェクトで一番大きな価値だったと感じています。
山田さん:
まず前提として、YouTubeでの反応は、僕らにとって十分に手応えのあるものでした。
これまで「エンタニメ」は、正直に言うと1,000回前後の再生数が多かったんです。
その中で、今回のシリーズでは、作品によっては2万回前後まで伸びました。
このYouTube全体がかなり厳しい状況の中で、この数字が出たというのは、素直にうれしかったですね。


芸人・ロバート秋山さんの回が特に伸びたこともありますし、FUNNYMOVIE代表の中道さんがXで告知してくれた影響も大きかったと思います。
「今まで届いていなかった人たちに、ちゃんと届いた」という実感はありました。(※取材時:2025年11月時点)
山田さん:
そのうえで、想定外だったのがInstagramです。
YouTubeが伸びなかったというより、「Instagramが想像以上に回った」という感覚が近いですね。
Instagramでは、作品によって8万回、ものによっては20万回以上再生されていて、同じコンテンツなのに、ここまで差が出るとは正直思っていませんでした。数字だけを見ると、40倍くらい違うケースもあります。(※取材時:2025年11月時点)


山田さん:
「なぜInstagramの方がここまで伸びたのか」については、正直なところ、まだ分析の途中です。
今は仮説を立てながら、どの要素が刺さったのかを検証している段階ですね。
ただ一つ言えるのは、縦型・短尺でテンポよく見られる形と、この作品の相性が良かった可能性は高いな、ということです。
ここは、もう少しデータを見ながら整理していきたいと思っています。(※取材時:2025年11月時点)


山田さん:
社内や関係者の反応は、とても良いです。
監督や周囲のスタッフも実際に作品を見てくれていて、「ちゃんと面白いね」と言ってもらえています。
この「ちゃんと」という言葉には、意味があると感じています。
芸人の持っている面白さを、そのままではなく、SNS向けのアニメ表現に落とし込んでいるのに、きちんと面白い。
そこを評価してもらえている感覚があります。
再生回数といった数字ももちろん大事ですが、それ以上に、
「これはいい取り組みだよね」と社内の空気が前向きになっていることは、すごく大きな成果だと思っています。
山田さん:
具体的な成果としては、別のクライアントさんであるコアレックスさんがこの作品に興味を持ってくださり、実際にVTR制作につながりました。
また、お得意先の方が作品を見てくれて、「見たよ」と声をかけていただく機会も確実に増えています。


山田さん:
派手な数字が一気に出るタイプの取り組みではありませんが、少しずつではあるものの、次の仕事につながる手応えのある反応は、確実に出てきていると感じています。


山田さん:
今後は、採用活動への活用も考えています。
実は新卒採用向けの映像もすでに2本制作していて、採用ページや劇場で使う予定です。
また、30秒のCMとして地上波や社内モニターで流す計画も進んでいます。
このキャラクターたちが、広告や別の形で活躍できる可能性は十分にあると感じています。
一方で、現時点では、社内的にも、また事業のポジションとしても、まだ「大成功です」と言い切れる段階ではありません。
ただ、Instagramでの反応や社内での評価、企業コラボといった形で、
少しずつですが、確実に手応えは積み重なってきています。
今はその結果を冷静に見極めながら、「どう広げるか」「どう次につなげるか」を考えているフェーズです。
だからこそ、良い面だけでなく、検証途中のリアルな状況も含めて、
正直に伝えていくことが大事だと考えています。


「作って終わり」にしないために必要なこと
山田さん:
今回やってみて、正直に言うと、課題は制作物そのものではありませんでした。
アニメの内容やクオリティについては、公序良俗や法的なチェック以外で大きな修正をしたことはほとんどなく、非常によく作っていただいたと思っています。
ただ一方で、「どう広げていくか」という部分は、まだまだやり切れていないと感じています。
これはFUNNYMOVIEの問題ではなく、完全に僕自身、そして弊社側の課題だと思っています。
日常業務に追われる中で、このコンテンツの面白さを十分に外へ届けられていない。
そこは、はっきり反省点だと感じています。
上木さん:
今のSNSやショート動画の時代は、「面白いものを作れば自然に広がる」というほど単純ではないと改めて感じました。
どこに面白いものがあるのかを、どうやって気づいてもらうか。
これは、この作品に限らず、ショートコンテンツ全体に共通する難しさだと思います。
まだ“あるべき姿”には立てていない。
でも、どこかで一気につながれば、大きく広がる可能性は十分にあるとも感じています。
山田さん:
次の一手としては、いくつか動いているものがあります。
LINEスタンプはすでに発売中です。また、エンタニメの30秒のCMが現在、地上波のCMで放映中です。
さらに、この企画自体を使ったライブも、まだ構想段階ではありますが、相談を始めているところです。
アニメ、SNS、CM、ライブと、点ではなく線でつなげていきたい。
「作って終わり」ではなく、どう育てていくかが、次に必ず活かしたいポイントです。
上木さん:
成功した話だけで終わらせず、こうした現実的な課題をどう乗り越えるか。
そこにこそ、このプロジェクトの次の成長があると思っています。
課題はありますが、可能性はまだまだ広がっている。
そう前向きに捉えています。


上木さん:
正直に言うと、会社の中だけで考えていると、自分たちの本当の強みって意外と見えなくなってしまうんです。
特に長くやっている会社ほど、「これが普通」「これは当たり前」という感覚が強くなってしまいます。
だからこそ、外の視点がすごく大事だと思っています。
今回の取り組みで強く感じたのは、「自分たちでは気づいていなかった面白さ」を、きちんと形にしてもらえた、という点でした。
これはアニメに限らず、どんな表現でも共通する話だと思います。


上木さん:
企業でも、人でも、どうしても「足りないところ」や「弱いところ」に目が行きがちです。
でも、今回のアニメでは、弱点は一切いじらずに、「ここが一番面白い」「ここが一番その人らしい」という部分だけを、しっかり拾ってもらえました。
これはとても大事なことだと思っています。
強みを伸ばすと、その会社や人の魅力は、自然と伝わるんです。
無理に直そうとしなくていい。
まずは、今ある良さを最大限に見せることが、結果的に一番強い表現になると感じました。


上木さん:
社内の人間だけで話していると、どうしても内輪の言葉や感覚になってしまいます。
それを、そのまま外に出しても、なかなか伝わりません。
今回感じたのは、「中の面白さを、ちゃんと外の人に伝わる形に翻訳してくれた」という点です。
これは簡単なことではありません。
でも、その翻訳がうまくいくと、「あ、この会社って面白いんだな」と、初めて見る人にも一瞬で伝わります。
アニメは、その翻訳にとても向いている表現だと思います。

上木さん:
今回改めて思ったのは、どんな会社にも、必ずキャラクター化できる要素がある、ということです。
芸人がいる会社だから特別、というわけではありません。
働いている人、社風、空気感、価値観。
それらを丁寧に見ていくと、「これ、物語にできるな」「キャラクターにしたら面白いな」というポイントは、必ず見つかります。
大切なのは、それを見つけてくれる相手と出会えるかどうか、だと思います。


上木さん:
アニメ制作というと、難しそう、ハードルが高そう、と感じる方も多いと思います。
でも実際は、「自分たちの強みを見つめ直す作業」でもあるんです。
もし、「うちの会社、何か面白いことできないかな」と少しでも思っているなら、
それはもう、十分にスタートラインに立っています。
大きな決断をしなくても大丈夫です。
まずは一歩、外の視点を入れてみる。
その一歩が、会社の見え方を大きく変えてくれる可能性は、確実にあると思います。


山田さん:
今回の取り組みを通して改めて感じたのは、「アニメって、こういう使い方もできるんだな」ということでした。
必ずしも大きな物語や派手な世界観じゃなくても、会社の中の日常や、人の関係性を切り取るだけで、ちゃんと共感してもらえる。
これは正直、やってみて初めて実感した部分です。
上木さん:
そうですね。自分たちの中だけで考えていたら、ここまでの形にはならなかったと思います。
「自社の強みって何だろう」「外から見たら、どう映るんだろう」
そういう視点を持つだけで、表現の幅は一気に広がるんじゃないでしょうか。


山田さん:
芸人を使った企画だから特別、ということではないと思っています。
どの会社にも、その会社ならではのキャラクターや空気感ってあるじゃないですか。
それをどう表現するか、という選択肢のひとつとして、アニメがある。
そんな捉え方でいいと思います。
上木さん:
「自社だったらどうだろう?」
そう考え始めた時点で、もう十分スタートラインに立っていると思います。
正解を最初から決める必要はないですし、まずは可能性を探るところからでいい。
今回の事例が、そのきっかけになれば嬉しいですね。
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